目次

2-1.プラズマ装置の構成 (著:穂積啓一郎)

大気中で低圧空間を作るためにはチャンバーと排気ポンプが必要で,内部の放電状態や材料の処理状況を観察するためにガラス製チャンバーが普通使われます.希に金属製チャンバーが使われますが,どこかにガラスの覗き窓が必要です.チャンバーには目的によっていろいろな形態がありますが,大別して流通管形とベルジャー形に分かれます(図1).いずれも反応器内には一方から原料ガスを導入しながら,他方から真空ポンプで引き,チャンバー内を1~0.1 Torr(1 Torr = 133 Pa)に保ちます.電極にはコイルとコンデンサーから成る高周波同調回路(マッチングネットワーク)をつなぎ,電源から同軸ケーブルで必要な電力を供給します.50Ωの高周波インピーダンスを持った同軸ケーブルには低電圧,大電流が流れていますが,プラズマ気体の内部抵抗が数千Ωありますので,マッチングネットワークで高電圧,低電流に変換します.この変換にはπ―マッチングというコイルとコンデンサーで構成された回路がよく用いられます(図2).電極は高電圧ですから触れないよう注意が必要です.同軸ケーブルには定在波率計(Standing Wave Ratio Meter,SWR計)が途中に挿入してあって,通過する電力と同時に進行波に対する反射波の比率を読み取ります.これにはプラズマの発生時にマッチングネットワークのコンデンサーを加減してSWR計の指示を最小にします.反射波0 %が理想ですが,10~20%でも実用には支障ありません.

プラズマ化学反応器

図1 プラズマ化学反応器

π-マッチングネットワーク

図2 π-マッチングネットワーク

流通管形では外部電極方式が普通ですが,電極材料のスパッタリングによる微量金属の汚染の心配がないので,有機試料の低温灰化や灰化物の原子吸光分析など分析化学的な利用に向いています.一方ベルジャー形は半導体プロセスや高分子材料の表面処理など面積のある材料に均一なプラズマを作用させるよう作られています.ここでは原料ガスが材料面の上から静かに拡散してくる様式になっています.多くの場合ドラム状の上部電極と接地した下部電極が数センチメートルの距離に対向していて,上部電極の下面に多数の噴射孔が開けられています.原料ガスは細いテフロン管を通って上部電極のドラム内部に供給されます.電極板がプラズマ空間に接しているので反応物が電極表面に沈着する場合があり,状況を見て電極板を清掃しなければなりません.ベルジャー全体の内部の汚れは清掃が大変ですから,同じプラズマ処理を繰り返すときは対向電極だけを取り外して清掃するのがよいでしょう.大規模の工業用プロセスでは実験用のプラズマ装置とかなり違った形に設計がされますが,基本的な考え方は共通しています.