目次

6-1.おわりに (著:穂積啓一郎)

プラズマ化学は40年ほど前に始まった科学で,部分的には定着したものもあり,特に半導体プロセスでは中核の技術になっています.しかし化学の目で全般を見るとよく説明のつかない現象もいろいろあって,ラボアジェ以来の伝統的な理論やルールで理解することが困難な事象に行き当たります.プラズマ空間では高速の電子のエネルギーで分子が簡単に高い励起状態になったり,イオン化したりすることが化学の常識を外す原因と思われますが,プラズマ化学反応の物理化学はこの点でまだあまり進歩していません.しかし分子も原子も本来陽子,中性子,電子で構成された粒子が量子力学のルールで自転,公転して成り立っているわけですから,外部から電子エネルギーが加えられればその秩序が変り,目新しい挙動をすることは不思議ではありません.

プラズマが強い電場で加速された電子のエネルギーで起こることは,化学者にプラズマ化学を伝統的なものとは異質のものと感じるようになり,手控えを余儀なくされましたが,考えようによってはその故に取っておきの新兵器が隠されていたと思われます.過去40年のプラズマ化学の発展と成果はまだその一部に過ぎませんが,応用面で期待できるいろいろの分野が次々と明らかとなっています.本稿では初期,中期の段階でプラズマ化学者が試みた応用研究を総括的に通覧しました.それぞれの延長線上にある理論と応用の進化は現在も続いています.

6-2.参考文献

1)J.R.Hollahan,A.T.Bell:"Techniques and Applications of Plasma Chemistry",JohnWiley&Sons,NewYork(1974).

2)穂積啓一郎編:"低温プラズマ化学",化学の領域増刊111号,南江堂 (1976).

3)穂積啓一郎:化学の領域,25,713(1971).

4)白井俊明(訳):"ろうそく物語",法政大学出版局(2000).

5)C.E.Gleit,W.D.Holland:Anal.Chem.,34,1454(1962).

6)J.R.Hollahan:J.Chem.Educ.,43,A401,A497(1966).

7)S.M.Irving:KodakPhotoresistSeminarProceeding,2,26(1968).

8)H.Abe,Y.Sonobe,T.Emoto:JapanJ.Appl.Phys.,12,154(1973).

9)R.H.Hansen,H.Schonhorn;J.Polym.Sci.B4,203(1966).

11)C.Y.Kim,G.Suranyi,D.Goring:J.Polym.Sci.,C30,533(1970).

12)A.Bradley,J.D.Fales:Chemtech.,1,232(1972).

13)J.R.Hollahanetal:J.Appl.Polym.Sci.,13,807(1969).

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15)P.L.Kronick,K.F.Jesch,J.E.Bloor:J.Polym.Sci.,A-1,7,767(1969).

16)J.M.Tibbit,M.Schen,A.T.Bell:J.Macromol.Sci.,A-10,1623(1976).

17)T.Wydeven,R.Kubacki:Appl.Optics,15,132(1976).

18)J.R.Hollahan,T.Wydeven,C.C.Johnson:Appl.Optics,13,1844(1974).

19)H.Yasudaetal:J.Biomed.Mater.Res.,9,629(1975).

20)浅井道彦:第3回プラズマ化学研究会講演要旨,京都大学楽友会館(1977).

21)K.R.Buck,V.K.Davor:Br.Polym.J.,2,238(1970).

22)H.Yasuda,C.E.Lamaze:J.Appl..Polym.Sci.,15,2277(1971).

23)A.T.Bell,T.Wydeven,C.C.Johnson:J.Appl.Polym.Sci.,19,1911(1973).

24)J.R.Hollahan,T.Wydeven:J.Appl.Polym.Sci.,21,923(1977).

25)A.F.Stancel,A.T.Spencer:J.Appl.Polym.Sci.,16,1505(1972).