初心者のための ガスクロ 講座 第5回 FID検出器とは

FID検出器
今回は ガスクロ に搭載される検出器としてTCD検出器と並びよく使われる「FID検出器」について解説します。
FIDとはFlame Ionization Detectorの各単語の頭文字をとったもので、日本語では水素炎イオン化型検出器といいます。 物質を水素炎中で燃焼することによって発生するプラズマ電子を検知します。
FIDの大きな特徴は、有機化合物(CとHが含まれる分子)に対し高い感度を示すところです。感度が高いので、微量のサンプルガスでも分析できます。
検出までの流れ
水素と空気を混ぜ、着火し炎をつけます。炎を囲うように200V程度の直流電圧のかかった電極があります。

カラムで分離された試料ガスを水素と混ぜて流します。
水素炎の中で有機化合物が燃えると、下のようなイオンになります。
酸化CH → CHO+ + e–
電極部分からイオンを捕集し、電気信号に変換します。 おおまかに、以上のような流れがFID検出器の要点です。

FID検出器の長所・短所
長所
1.有機化合物に対する感度が高い
2.構造が単純
短所
1.サンプルガスが燃えてなくなってしまう。
2.有機化合物以外にほとんど感度がない
前回解説したTCDと比べるとちょっと見劣りしそうですが、 「高感度で有機化合物だけを分析したい」という人にはおすすめです。
FID検出器を使用したガスクロのページもご覧ください。