初心者のための ガスクロ 講座 第12回 触媒 について
触媒 catalyst
今回は「 触媒 」について解説していきます。
触媒 とは、それ自体は消耗せず化学反応を促進させる物質のことです。 触媒 にある物質を接触させると、通常では起こらない(起こりにくい)反応が、 触媒 との接触面で盛んに起こります。
例えば…
●自動車の排ガス浄化装置
有害な排気ガス(HC、CO、NOx)を無害な物質(N₂、CO₂、H₂O)に変換します。これは三元触媒と呼ばれる装置で、プラチナ、パラジウム、ロジウムなどの貴金属が使用されます。
●石油精製における不純物の除去
原油から硫黄を取り除くために使用される加水分解触媒。ニッケルやモリブデンが一般的です。
●有害物質の分解
酸化チタンの光触媒が紫外線によって活性化され、有害物質を分解する技術です。水処理や空気清浄に利用されています。
等々、過去、様々な触媒が開発・製作されてきましたが、多くの場合、良質な触媒は「素材が高価」という弱点があります。(白金、パラジウムなど) 最先端の研究機関では、そのような高価な触媒に代わる低コストな触媒の研究が行われています。低コスト且つ良質な触媒の開発に成功すると、社会に与える影響も大きく、開発者がノーベル賞を受賞することもしばしばです。
触媒 研究の簡単なフロー
濃度が分かっているガスを 触媒 に吹きつけ、下流にガスクロを設置し、触媒によってどれくらいガスの組成が変化するか、ガスクロで検証します。触媒の環境(高温状態、高圧状態)などにより、触媒の能力が変化する場合もあります。
他には、
反応試験:
- 既知の濃度のガスを触媒に接触させ、反応後のガス成分をガスクロマトグラフィーで分析します。これにより、触媒の活性や選択性を評価します。
触媒の改良:
- 触媒の材料や構造を調整し、反応効率の向上を図ります。ナノテクノロジーを用いた触媒の微細構造の制御も行われます。
持続可能な触媒:
- 廃棄物のリサイクルやバイオマスを原料とする触媒開発も進められています。環境負荷を低減し、持続可能な社会を目指しています。
触媒の未来
触媒技術は多岐にわたる分野で応用されており、エネルギー、環境、化学工業などで不可欠な存在です。新しい触媒の開発は、エネルギー効率の向上や環境保護に大きな貢献をする可能性があり、持続可能な未来の実現に向けて期待されています。
弊社でもグリーンイノベーション事業に関連した触媒評価装置を製造しております。詳しくはこちらをご参照下さい。