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初心者のための ガスクロ 講座番外編 第7回 大気汚染物質と温室効果ガスについて

ガスクロ 講座番外編

今回は有名な大気汚染物質と温室効果ガスについて解説します。

大気汚染物質について

まず、有名な大気汚染物質を知っておきましょう。
●硫黄酸化物
SO(一酸化硫黄)、SO2(ニ酸化硫黄)、SO3(三酸化硫黄)など。化学式から SOX(ソックス)と呼ばれます。
工場の煙突から出る煤煙、自動車の排ガスに含まれます。主に石油・石炭に含まれる硫黄成分が燃焼することにより発生します。水と反応し、硫酸・亜硫酸になり、酸性雨の元になります。現在は石油の脱硫技術、排煙の脱硫技術によりかなり改善されています。
●窒素酸化物
NO(一酸化窒素)、NO2(ニ酸化窒素)、N2O(一酸化二窒素)など。化学式から NOX(ノックス)と呼ばれます。
物質が高温で燃焼する時に発生する場合と、燃焼時の燃料の組成が由来で発生する場合があり、大気汚染物質として多くを占めるのは後者です。主な発生源は自動車の排ガスです。硫黄酸化物と同じく、酸性雨の元となります。また、後に解説する光化学オキシダントの原料となります。燃焼により発生する窒素酸化物を抑制することは困難であるといわれています。NO2(ニ酸化窒素)は人体に有害ですが、N2O(一酸化二窒素)は医学分野で麻酔剤として使用されたり、NO(一酸化窒素)は血管拡張作用があり、我々人体の中でも生産されています。
●光化学オキシダント
窒素酸化物と炭化水素(※非メタン炭化水素)が太陽光を受けて反応、発生するニ次汚染物質の総称。
代表的な物質はオゾン。強力な酸化作用を持ち、光化学スモッグの原因になります。 光化学スモッグは周囲の視界が悪くなり、健康にも被害を及ぼします。
※非メタン炭化水素
メタンを除く炭化水素のこと。
メタンは光化学的に不活性であり、大気汚染の直接の原因にはならないので、光化学オキシダントの成因物質の炭化水素と分けるために使われる語句。

温室効果ガスについて

また、近年の地球温暖化の原因と言われる「温室効果ガス」についても、代表的な物質を紹介します。
●二酸化炭素(CO2)
最も一般的な温室効果ガス。
他の温室効果ガスと比較して温室効果は低いものの、排出する量がとても大きいので、地球温暖化の最大の原因と言われています。主に石油などの化石燃料の大量消費が排出量の増大を招いています。 しかし、二酸化炭素が地球温暖化の大きな原因ではない、という議論も存在します。
●メタン(CH4)
二酸化炭素の20倍〜70倍の温室効果を持ちます。
近年の気温上昇により、地中に凍結して閉じ込められていたメタンが放出され、さらに気温上昇が激しくなる、などが懸念されています。
●一酸化二窒素(N2O)
大気汚染物質でもある一酸化二窒素は、二酸化炭素の約300倍の温室効果を持ちます。
医療で使用される吸気全身麻酔(「笑気ガス」という名称)として利用されています。