初心者のための ガスクロ 講座 第4回 TCD検出器とは
TCD検出器
今回は ガスクロ の検出器の中で最も一般的な検出器、「TCD検出器」について解説します。 TCDとはThermal Conductivity Detectorの各単語の頭文字をとったもので、日本語では熱伝導度型検出器と言います。その名の通り、測定対象成分とキャリヤーガスの熱伝導度の差を利用した検出器です。それでは、TCD検出器の軸となる物理的な定義を3つ、簡単に勉強しましょう。
ホイートストンブリッジ
図は有名なホイトストンブリッジと言われるブリッジ回路です。
真ん中の検流計がゼロになっているとき、それぞれの抵抗の抵抗値の比率は R2/R1=Rx/R3となります。もう少し詳しく説明したいのですが、長くなりますので今回の重要なポイントは次の一点… 「上の状態から抵抗値(Rx)を変えると、真ん中の検流計の数値が変化する」ということを覚えておきましょう。
抵抗の温度による影響
電線を暖めたり冷やしたりすると、電気の流れやすさが変化します。これは、電線の中に存在する電子たちが温度変化に敏感に反応するからなんです。金属の中にある電子たちは、もし電線が温まると、なんだか元気になって活発に動き回ります。逆に、電線が冷えると、電子たちの動きがちょっと鈍くなるんです。これをイメージすると、電子たちが温度の変化に敏感に反応し、その結果として電気の流れやすさが変わると理解できるでしょう。。
熱伝導率の差
物質によって、熱伝導率に差があります。”鉄より金のほうが温まりやすく冷めやすい”などです。これは固体だけでなく、液体や気体も同じような特徴を持っています。これを応用した考えで、「ある固体を風で冷やす場合、用いる気体によって固体の冷え方が違う」とも言えます。例えば、同じ扇風機でも、N 2の風を使う場合とO 2の風を使う場合とでは、涼しさに違いがある、と考えればわかりやすいでしょう。
以上の3点を踏まえ、下図を順を追って見ていきましょう。
1.ホイトストンブリッジの2箇所の抵抗に、キャリヤーガスを流し続けた状態にしておきます。
2.上記の状態から、 ガスクロ 講座第2回・第3回で説明した、カラムで分離された試料ガスを片側のラインに流します。
3.物質A・物質Bが流れた時に抵抗値が変化し、真ん中の検流計の数値が変化します。
この検流計の数値の変化でもってガスの濃度を調べるのがTCD検出器なのです。