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水素キャリヤーを採用する際の注意点

近年水素ガスの需要は様々な分野で高まっており、ガスクロマトグラフの分野においてもTCD検出器で必要なHeキャリヤーの代替として水素ガスを使用する機会が増えてきています。水素と聞くと、「入手しやすい」といったメリットの他に、「爆発の危険性」といったキーワードが、思い浮かぶかと思います。可燃性ガスはある特定の濃度範囲となると静電気や電気設備などが発火点となり爆発が起こり、水素の爆発濃度範囲は空気中では4%~75%とされています。下限値4%を具体的にイメージすると、広さ10m2天井高さ3mの密閉空間に1.2m3の水素が均一に拡散した場合となります。47Lボンベには7m3充填されており、完全な密閉空間でボンベ約17%が漏洩した状態に相当します。しかしながら、水素は軽いため部屋の上部に滞留して部分的に濃度が濃くなり、もっと早く爆発限界に達して天井にある電灯が発火源になり爆発する恐れは十分にあります(天井から50cmの滞留であれば、0.2m3(ボンベ約4%)程度で爆発限界)。ですから、水素の漏洩対策としては「換気」・「部屋上部に漏洩検知器の設置」が必要となります。

注意喚起

弊社では今年6月より発売開始しました水素キャリヤー対応燃料ガス分析計GC2011 PLUSと同時にガスクロ用水素漏洩検知器を発売しました。当検知器は、ガスクロ内部の漏洩を検知し、電源部が発火源とならないよう電源を遮断する装置となっています。メンテナンスとしては1年に1回の動作確認、定期的なセンサー交換を行います。しかしながら、GCより前の水素漏洩に対しては検知の効果がないため、労働安全上の保安機器としての使用はできません。ガス警報器や検知器の専門メーカー様からは、法令に準拠した製品が販売されております。
水素キャリヤーを採用されるお客様は、室内上部へ適正な水素漏洩検知器の設置および換気装置のご確認をお願い致します。