初心者のための ガスクロ 講座 第9回 検量線について
検量線とは?
ここまで ガスクロ に関する大まかな勉強をしてきましたが、今回はもっと詳しく、実作業に大きく係わる「検量線」について勉強しましょう。
検量線とは、 ガスクロ などの計測機器に欠かせない『検出器からのデータを濃度にすると何ppmになるか』を描いたグラフです。ガスクロ講座 第3回では検出器の大まかな構造について勉強しましたが、検出器からのデータは「電圧」であって、「ppm」ではありません。ガスクロ(検出器)からのデータは、測定者が検量線を用いて「電圧」から「ppm」を導き出す必要があるのです。 では、実際に検量線を作成する手順を紹介しましょう。
標準ガスを用意する
検量線の作成には標準ガスは欠かせません。標準ガスとは、濃度のわかっている混合ガスのことです。ガス会社に、任意の混合ガスを作ってもらいましょう。また、自分で作成することもできます。 自分で標準ガスを作成する方法は、また別の機会に勉強しましょう。
どんな混合ガスで標準ガスを作るの?
まず実験者が、「何を測りたいか?」ということを明確にしましょう。 特に、『測りたいガス種』と『おおよその濃度』を決めましょう。仮に、 測りたいガス種:CO2おおよその濃度:約500ppm とすると、その前後、100ppm〜1000ppmのいづれか3点ほどの標準ガスを用意するのがベストです。
用意した標準ガスを ガスクロ に導入し、データを採取しましょう。 仮に、以下のようなデータが採取できたとします。
標準ガス① CO2… 200ppm / N2 … 0.2V
標準ガス② CO2… 600ppm / N2 … 0.4V
標準ガス③ CO2…1000ppm / N2 … 0.6V
これを図のようなグラフにしてみましょう。(縦軸は採取したデータである電圧、横軸はそれぞれの標準ガスの濃度)濃度と電圧はきれいな比例関係であることがわかります。これが検量線といわれるグラフです。
ガスクロ で濃度のわからないガスを測定してみよう
作成した検量線を元に、濃度が不明な、 CO2の濃度が知りたいサンプルガスを ガスクロ に導入しましょう。
以下のようなデータを採取できました。サンプルガス… 0.45V この0.45Vを検量線に照らし合わせると、 サンプルガス… 700ppm となります。
検量線の作成はこのように、サンプルガスを測定する前の準備作業、ということなのです。